エッセイ

安心できる場が個をひらく 不格好で心地よい世界

著者 SHOGEN(ショウゲン),山下完和(やました まさと)

  • ・価格:2,000円(本体2,200円+税)
  • ・ページ数:四六判・並製/224ページ 束幅:15mm
  • ・発売日:2026年11月16日
  • ・ISBNコード:978-4-86588-152-3 C0095
  • ・ジャンル:エッセイ

ペンキ画家SHOGENさんが日本で見つけた、もうひとつのブンジュ村

『今日、誰のために生きる?』でお馴染みの、ペンキ画家SHOGENさん。かつて暮らしていた、アフリカ·ブンジュ村の人々からの学びや気づきを発信しながら日本各地の学校教育の現場で子供たちと暖かな交流の輪を広げています。そんなSHOGENさんが、「日本のブンジュ村」と呼び、深い感銘を受けたのが、滋賀県にある福祉施設「やまなみ工房」です。

本書は、SHOGENさんが「やまなみ工房」へと通いながら、施設長の山下完和さんと重ねてきた対話の記録です。そこで語られたのは、人が「その人のまま」安心して生き、力を発揮できる関係や環境についての深い考察でした。

障害や個性を既存の枠組みで捉えず、一人ひとりの「好き」「得意」「わからない」をそのまま受け止め、評価や競争を持ち込まずに表現を支える、やまなみ工房の実践。そこに、SHOGENさんがアフリカ·ブンジュ村で触れた、人と自然が調和し、今この瞬間を大切に生きる知恵が重なります。

「本当の自分」とは何か。誰もが安心して自分らしくいられる場所は、どうすれば生まれるのか。子育て、教育、福祉、職場、人間関係など、さまざまな場面に通じる二人の言葉から、相手を変えようとするのではなく、違いを受け入れ、待ち、信じ、共に生きることの意味を問い直します。

多様性を理念で終わらせず、日々の関係と環境のなかで実践するためのヒントを届ける一冊です。

 

目次

はじめに
日本のブンジュ村で見つけた「本当の幸せ」

  • 「ここやったんや!」という確信
  • 「わからない」と言える強さ
  • 「誰かのため」という名の執着を捨てて
  • 不完全さを楽しむ生き方

 

PART1 私とあなたの間にある障害

  • 障害とは「誰かが誰かの悪口を言うこと」
  • 自分に嘘をつかない生き方
  • お膳立てされた社会と、奪われる選択肢
  • 否定もしないし、過剰に褒めもしない優しさ

 

PART2 不格好で心地よい世界

  • 相手を「固有の特性」として受け入れる
  • ブレずにやり続ける能力
  • 比較·強制から解放された「深い安心」
  • 相手を丸ごと愛おしむということ
  • 背景を理解したとき、人は優しくなれる
  • 「わからない」を抱きしめる豊かさ

 

PART3 やまなみ工房と、やまなみの人々

  • やまなみ工房の始まり
  • 苦難の時代
  • 社会的偏見との対峙
  • 場所の確保
  • 社会的認識の変化と、現在地
  • 待つこと、許すこと、ただそこにいること
  • 啓吾くんの落書き
  • 菜穂子さんの2年間
  • ヒデさんの四角
  • 由美子さんの丸
  • 正己くんの40年
  • 冨士川くんと市岡さん
  • 千秋さんの一針がつむぐ親孝行
  • とっちゃんとトラック
  • 70歳から始まった井上優さんの人生
  • 紘子さんと交わす、優しい拳
  • 落書きで世界を繋ぐ、吉田陸人くん
  • ファッションデザインになった鵜飼裕之くんのグルグル
  • ルールからいかにはみ出すか。やまなみ工房の「三つの自慢」

 

PART4 安心と幸せについて

  • 固定観念を揺さぶる人たち
  • 上下関係がないから、壁がない
  • いかに毎日「ご機嫌」でいられるか
  • 失敗のない世界
  • 怒りがなくなった

 

PART5 格好いい人格者

  • 偉い人なんていない。すべては「ポジション」
  • 絵が生まれる瞬間

 

PART6 安心して生きるためのアート

  • 38歳までの命と言われて
  • 会社からの解放、そして「自分を追い込んだ」Facebookの罠
  • 自分を愛すること
  • 子供たちの自尊心を育む現場
  • エピソード1 「うんち」はセーフかアウトか!
  • エピソード2 「男子」VS「女子」
  • エピソード3 3階から見ていた先生
  • 子供たちの絵が世界を変える
  • 本当のスピリチュアル、本当の幸せ

 

PART7 本当は誰もが輝ける

  • 無邪気さと「一体」になる空間
  • 補い合い、折り合いをつける「余白」の大切さ
  • アートはその人の分身
  • みんな主役になれる
  • 機会を閉ざすくらいなら、利用されたっていい

 

PART8 根気強く待つこと 

  • 競わなくても社会と繋がる場所
  • 原動力は理屈抜きの「好き」
  • 「今、目の前の人が居心地良く生きる」ために

著者

SHOGEN(ショウゲン)

1986年生まれ。ペンキ画家。アフリカの伝統画法「ティンガティンガ」に魅せられ、2014年に単身タンザニアへ渡る。現地画家ノエル·カンビリ氏のもとで絵を学び、ブンジュ村で村人たちと暮らすなかで、絵の技法のみならず、村長や村人との温かな対話を通じて、豊かな生き方の知恵を学ぶ。帰国後は全国各地で個展や講演、小中学校や神社仏閣などでのワークショップを行い、絵を通じて、自分自身や大切な存在を愛おしむ心、生きる喜びを伝えている。主な著書に『新装版 今日、誰のために生きる?』(ソラトウミ舎)。

 

山下完和(やました まさと)

1967年生まれ。多彩な職業経験を経て、1989年5月より「やまなみ共同作業所」の支援員となる。翌年、「アトリエころぼっくる」を立ち上げ、利用者それぞれの歩む速度や心の動きに寄り添う関わりを重ねてきた。そうした関わりのなかで育まれた信頼が、一人ひとりの自分らしい日常や自由な表現につながっていく。2008年より「やまなみ工房」施設長。誰もが自分らしくいられる場をつくり続けている。 主な著書に『咲ける場所に置いてくれ――福祉の素人集団が無限の可能性を引き出した!世界を虜にするやまなみ工房のアート』(ライフサイエンス出版)。

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